医療法人社団輝生会  初台リハビリテーション病院
菅原 英和 院長

初台リハビリテーション病院の菅原 英和 院長

脳卒中のリハビリテーションについて先生のお考えを教えていただけますでしょうか。

脳卒中の回復期リハビリテーションでは、患者さんの重症度や回復状況に合わせて適時適切に調節された難易度の課題を1日 3 時間の訓練と、
残りの1日 21時間のケアで繰り返し学習していくということが最も重要な治療過程となります。もう一つ重要なこととして、痙縮など回復を妨げる要因を
なるべくはやく排除できる様な技術と環境を整えておくということが挙げられます。

痙縮の治療方法について教えていただけますでしょうか。

痙縮の治療法は基本的に関節可動域訓練・ストレッチ・装具療法・物理療法・内服薬での治療、モーターポイントブロックやボツリヌス治療、
外科的な治療としてITB療法 (髄腔内バクロフェン投与療法)やアキレス腱延長術などがあります。適切な時期に適切な治療方法を施す為に、
まず医師がしっかり適用判定をして、適切な治療を提供できる様な技術・資源を病院の中で持っておくことが非常に大事ではないかと考えています。

体外衝撃波治療器の導入経緯を教えていただけますでしょうか。

体外衝撃波を知ったきっかけは 2021年脳卒中治療ガイドラインの改訂で体外衝撃波について掲載された事でした。
欧米では2010年頃から臨床応用されていることを文献で確認し、実際に収束型・拡散型両機器のテスト運用を行い痙縮の患者さんへの即時効果と持続効果が確認できたため、導入を決定しました。現在は回復期病棟の入院患者さんを中心に使用しています。

拡散型衝撃波をご使用いただく中で、患者さんからはどのようなお声がありますでしょうか。

現在は片麻痺あるいは脊髄損傷による四肢麻痺の患者さんに対する四肢の痙縮に体外衝撃波を使用しています。痙縮は肩の周囲に起こる事も多く、
痛みを伴う場合があり、リハビリの阻害要因になることがあります。
体外衝撃波を使用することで、肩の痛みが減り、
「可動域が広がる、ストレッチあるいは上肢の機能訓練が行いやすい」という声をいただいております。
拡散型衝撃波・拡散型衝撃波を使用

今後の拡散型衝撃波の運用について、ご意見をお聞かせください。

導入当初は第一段階として医師が適切に適用判定して実施する事を中心に運用していました。
第二段階として医師の指示のもとリハビリテーション療法の中で運用できる様に、療法士と適用・実施方法マニュアルを通じて情報を共有し、
療法士への運用を広げていく段階になっています。それにより使用できる機会を増やしていきたいと考えています。

ボツリヌス治療との運用について教えていただけますでしょうか。

当院では回復期リハビリテーション病棟でも必要な患者さんにボツリヌス治療やフェノールブロック療法を実施していました。
実際に行う時期としては回復期リハビリテーション病棟に入棟後2~3ヶ月経過した時点で実施する事が多かったのですが、拡散型衝撃波治療器を導入してからは、痙性が上がり始めた段階で体外衝撃波を使用し、より早い段階での痙縮コントロー ルを試み、コントロールが十分でない場合に次の治療戦略として
ボツリヌス治療・フェノールブロック療法等を検討していくという運用に変わってきています。
また、ボツリヌス治療、あるいはフェノールブロック療法を行う前に、痙縮が緩んだ状態を患者さんに体験していただいて、
私たちも評価できるというメリットもあります。
費用負担が原因で回復期リハビリテーション病棟でのボツリヌス治療が実施できてない施設も多いと思いますので、是非取り入れて欲しいです。

導入して良かった点や従来のアプローチと比較した場合について教えていただけますでしょうか。

まずは痙縮へのアプローチの選択肢が増えた事。従来の痙縮治療として振動療法をよく選択していました。振動療法の即時効果はありますが、持続時間の観点では経験的には1時間から長くて半日程度でした。体外衝撃波の場合は実施から持続効果が1週間以上ある症例も多く、その点においては従来の物理療法よりもメリットが多いのではないかと感じています。

医療法人社団輝生会 初台リハビリテーション病院
菅原 英和 院長

医療法人社団輝生会 初台リハビリテーション病院の菅原 英和 院長
1992年 東京慈恵会医科大学卒業
1994年 東京都リハビリテーション病院勤務
1996年 ニュージャージー医科歯科大学留学
1998年 東京慈恵会医科大学付属病院勤務
2000年 農協共済中伊豆リハビリテーションセンター勤務
2004年 東京都立大塚病院勤務
2010年 初台リハビリテーション病院勤務
2016年 初台リハビリテーション病院 院長就任
[専門医・認定医]
リハビリテーション科専門医・指導医
摂食嚥下リハビリテーション認定士
[専門医・認定医]
リハビリテーション科専門医・指導医
摂食嚥下リハビリテーション認定士
[専門分野・学会]
日本リハビリテーション医学会
日本摂食嚥下リハビリテーション学会
回復期リハビリテーション病棟協会

初台リハビリテーション病院

医療法人社団輝生会 初台リハビリテーション病院
東京都渋谷区本町3-53-3
入院:回復期リハ病棟179床
入院患者数 684名/年 外来 83名/日
通所リハ 25名/日
訪問リハ 70名/日
https://www.hatsudai-reha.or.jp/



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