医療法人社団朋和会 西広島リハビリテーション病院
岡本 隆嗣 院長 / 渡邊 匠 先生 / 上森 奨悟 先生


※インタビュー内では、敬称を省略させていただいております。

拡散型衝撃波を導入しようと思われたきっかけを教えていただけますでしょうか。

[岡本] 脳卒中などによる片麻痺の回復を阻害する一番の原因は痙縮です。生活期であればボツリヌス治療を併用することが多いですが、回復期リハビリテーション病棟では薬剤費の算定上ボツリヌス治療の積極的な施行は難しく、今まで当院では、内服治療や電気刺激・振動刺激といった物理療法を併用してきました。しかし痙縮が強い場合はどれも十分な効果とはいえず、何か良いものはないかと探していました。
その頃、東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座の安保教授から拡散型衝撃波の情報を教えていただきました。実際にテスト運用してみて、物理療法でこれだけ痙縮コントロール効果がある機器に出会い、正直驚いています。すぐに導入を決めました。

拡散型衝撃波を患者さんにはどのようにご説明されていますでしょうか。


[岡本]
痙縮コントロールの秘密兵器と言っています(笑)。
筋肉に直接当てるだけで、筋肉の粘弾性や伸張性を直接変化させることができ、侵襲性が低く使いやすい機器であることを説明しています。同意が得られたらまず1-2か所の筋肉に試してみて、即時効果の評価と使用後の感想を聞いてから、
他の筋肉にも使用するようにしています。

生活期の方へもご使用されているとのことですが、どのようにご使用されていますでしょうか。

[渡邊・上森]生活期はリハビリの時間が限られていますので、プレコンディショニングとして毎回実施する方や、隔週で使用して機能訓練と併用する方、ボツリヌス治療と併用して施注が難しい手指などの末梢部分の痙縮コントロールに使用している方など、状態や症状、訴えに合わせて使用しています。

導入したことでどのような改善がありましたでしょうか。

[渡邊・上森]一番大きな改善としては即時的な痙縮コントロールが図れることだと考えています。
それに伴って、ストレッチの時間を減らし、運動療法やADL訓練などにあてることができるため、運動量の増加にも良い影響があります。また、複数回施行していくことで効果の持続が見られる場合が多く、セルフケアも一緒に指導していくことで筋緊張や関節可動域の管理にも役立っています。

患者さんからはどのようなお声がありますでしょうか。

[渡邊・上森]施行した部位が軽くなったという意見を多くいただきます。また一部の患者さんからは痙縮に伴う疼痛で夜間眠れなかったという方が、疼痛の軽減が図れたことで「ずっと眠れなかったのに、初めてよく眠れました!」というご意見も頂きました。生活期のご家族からは介助が楽になった、などのご意見がありました。

ボツリヌス治療との運用について教えていただけますでしょうか。

[岡本]痙縮治療は侵襲の少ない治療から行うことが基本ですので、拡散型衝撃波導入後は、最初に拡散型衝撃波を試すことが多くなりました。痙縮が高度な場合、痙縮軽減効果を長く持続させたい場合、後脛骨筋のように筋層が深い場合などでは、ボツリヌス治療を追加します。ボツリヌス治療に拡散型衝撃波を組み合わせることで、痙縮抑制効果が高まることを実感しています。
また体外衝撃波は筋腱移行部にも効果を発揮する印象があり、足趾や手指のように、外在筋と内在筋でボツリヌス治療と拡散型衝撃波を使い分ける、なども試みています。

スタッフの皆様の感想をお聞かせください。

[渡邊・上森]「痙縮があった箇所に数十秒当てて筋が緩むのを実感した時は驚きました」といった声が上がっています。
患者さんとも効果を共有しやすく、患者さん自身がリハビリに対して前向きに取り組むきっかけになることもあり喜んでいます。


拡散型衝撃波の今後の可能性についてどのようにお考えでしょうか。

[岡本]拡散型衝撃波は臨床で使用しやすい機器であるため、ボツリヌス治療と並び、今後の痙縮コントロールの主流になっていくと予想しています。
[渡邊・上森]臨床では痙縮抑制効果を強く実感しています。作用機序や施行方法など、まだ検討できることが多くあるので治療効果を高めるための検証も行っていきたいと思っています。

医療法人社団朋和会 西広島リハビリテーション病院
岡本 隆嗣 院長

2001年3月 東京慈恵会医科大学医学部卒業
2001年4月 東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座入局
2002年 7月 東京都立大塚病院 ( 回復期リハビリテーション病棟)
2003年 7月 神奈川リハビリテーション病院
       (脳外傷リハビリテーション病棟)
2005年10月  東京慈恵会医科大学附属第三病院
2007年 7月 西広島リハビリテーション病院
2008年4月 同 地域連携部長・リハビリテーション診療部長
2011年11月 同 病院長就任
2017年6月 医療法人社団朋和会 理事長(病院長兼務)
2022年8月 東京慈恵会医科大学 リハビリテーション
医学講座 客員教授

[専門医・認定医]
日本リハビリテーション医学会
専門医・指導医・代議員
[役員]
回復期リハビリテーション病棟協会 常任理事
日本リハビリテーション病院・施設協会 理事
[関連学会]
日本ニューロリハビリテーション学会 評議員
日本スティミュレーションセラピー学会 理事・評議員
日本生活期リハビリテーション医学会 代議員


リハビリテーション部 副主任
渡邊 匠 先生

リハビリテーション部 副主任
上森 奨悟先生

2009年 島根リハビリテーション学院
理学療法学科 卒業
同年  西広島リハビリテーション病院
リハビリテーション部 入職

2011年 広島大学医学部保健学科
作業療法学専攻 卒業
同年  西広島リハビリテーション病院
リハビリテーション部 入職


医療法人社団朋和会 西広島リハビリテーション病院
広島県広島市佐伯区三宅6-265
入院:回復期リハビリテーション病棟  139床
   本館1階…37床 
   本館2階…52床
   西館2階…50床
https://www.welnet.jp



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