医療法人畏敬会 井野辺病院
井野邉 純一 院長 / 加藤 貴志 先生

医療法人畏敬会 井野辺病院 の井野邉 純一 院長と加藤 貴志 先生

※インタビュー内では、敬称を省略させていただいております。

拡散型衝撃波の導入のきっかけを教えて頂けますでしょうか。

[井野邉] リハビリテーション部の加藤部長より、体外衝撃波が痙縮に効く可能性があると提案された事がきっかけでした。
私の専門は脳神経内科で、脳卒中や痙性対麻痺でかなり痙縮患者が多く、色々な治療を試しています。
内服、ボツリヌス治療、ITB療法 (髄腔内バクロフェン投与療法)を行っていますが、その中のラインナップに必ず入る療法と思い導入を決めました。

[加藤]脳卒中患者さんのリハビリに関わる上で、痙縮は大きな問題です。
現状、痙縮のリハビリテーションはボツリヌス治療、振動刺激、装具による抑制等様々な介入方法があり、各療法とも一定の効果がでています。
私としては、もう少し幅を広げられないかとの思いがありました。
その中でボツリヌス治療が有効であると考えておりましたが、回復期の入院患者さんでは、費用の問題等で当たり前に使うことができませんでした。
その為、それと同じような効果がある新しい治療法を探していたところ、海外の研究で衝撃波療法が痙縮抑制にボツリヌス治療と同等の効果があるとの論文を見つけ、取り入れたのが始まりです。

ご導入して良かった点などがあればお聞かせいただけないでしょうか。

[井野邉] 今までボツリヌス治療を3か月に一度行っていた患者さんが拡散型衝撃波介入後、ボトックス治療が必要なくなったケースがあります。

[加藤]治療効果が高まったと実感しています。従来の運動療法と相反するものではなく、組み合わせの相性が非常に良いものではないかと思っており、
どんな運動療法やADL訓練を行うにしても、痙縮は阻害因子になることが多いので、それを除いた上で様々な手技と組み合わせる。
決して相性悪いものではなくて、従来の治療効果を高める効果があるのではないかと思います。
あとは、やはり時間短縮です。痙縮を抑える上で装具による抑制とかいろいろな方法がありますが、経験的には2、3分程度でスーッと落ちますので、
訓練時間を効率的に活用するという面でも効果があるものではないかと思っています。

具体的には拡散型衝撃波をどのようにご使用されていますでしょうか。

[加藤]患者さんのリハビリ開始前、痙縮を落としたい箇所にショックウェーブ療法を行い、運動療法やADL訓練、PTであれば下肢に対して照射し、歩行訓練を行います。
痙縮の影響を除いて、運動学習を行いやすい状態にした上での訓練や、痙縮で可動性・柔軟性の低い箇所を緩めてリハビリをすることで、随意性を高めたりしています。

拡散型衝撃波をご使用いただく中で、患者さんからはどのようなお声がありますでしょうか。

[加藤]患者さん自身が効果を感じられるというのが大きいと思っており、当てて30秒程度で痙縮があった箇所がスーッと緩む瞬間が出る人がいます。
ご自身たちで痙縮が緩まるというところを実感していただけることが一番大きい効果だと思います。
拡散型衝撃波について説明する加藤 貴志 先生

今後の拡散型衝撃波の運用について、ご意見をお聞かせください。

[加藤]回復期病棟において、毎日筋腹に当てていくことで即時的に痙縮が緩和されることは間違いなく経験しており、それを持ち越し効果で、少しずつその効果が残ってくる症例を何例か経験しています。今後は、回復期で毎日使うことによって効果がどれだけ延長されるのかを検証していきたいと思っています。当院では、脳神経内科の患者さんも多いので、パーキンソン病や脊髄小脳変性症、その他の痙縮、固縮、筋が固くなる病気の方々に対して少しでも治療効果がないか検証できればと考えています。
もう一点が、モバイルで持ち運べますので、訪問リハに持っていき、地域リハ、介護保険分野においても痙縮で困っている方はおられますので、医療保険と介護保険、地域リハでも治療効果が出る人がいないか、活用してどんどん適用範囲を広げていきたいです。


医療法人畏敬会 井野辺病院
井野邉 純一 院長

井野辺病院の井野邉 純一 院長
1987年 久留米大学医学部卒業
1987年 東京女子医科大学神経内科学教室
1990年 国立神経・精神センター留学
1994年 同大学院博士号取得
1994年 米国ハーバード大学留学
1997年 大分医大第3内科入局
1999年 大分県三重病院勤務
2000年9月 井野辺病院 副院長に就任
2006年6月 井野辺病院 院長に就任
2006年9月 畏敬会 理事長に就任
[専門]リハビリテーション、神経内科
[専門医・認定医・資格]
日本神経学会専門医
日本内科学会専門医・認定医
日本リハビリテーション医学会専門医・認定医
人間ドッグ認定指定医
日本医師会認定産業医
[受賞歴]
日本整形内科学研究会第3回学術集会 最優秀賞

井野辺病院リハビリテーション部
加藤 貴志 部長

井野辺病院リハビリテーション部の加藤 貴志 部長
2000年
熊本リハビリテーション学院
作業療法学科卒業 作業療法士免許取得
井野辺病院入職
2010年
大分県立看護科学大学大学院博士課程入学
2017年
大分県立看護科学大学大学院博士課程修了(健康科学博士)
大分県立看護科学大学共同研究員
[受賞歴]
(1) 第1回大分県リハビリテーション医学会最優秀
論文賞,2009
(2) 第16回世界作業療法連盟大会優秀演題セッション,2014
(3) 第25回総合リハビリテーション賞,2017


医療法人畏敬会 井野辺病院

医療法人畏敬会 井野辺病院
大分県大分市中尾255
入院:回復期リハビリテーション病棟60床
  :地域包括ケア病棟60床
外来104 名/日
地域リハ365名
https://www.inobe.or.jp/



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